秋田商会の情報システム担当・柴くんは、足取りも重く廊下を社長室に向かって歩いていた。社長の秋田は「犬のごちそうは犬だけが知っている」をキャッチフレーズにドッグフード業界に殴り込み、一代で国内50拠点まで業務を拡大したヤリ手。ただ、それだけに部下への要求レベルも高く、社員が振り回されることもしばしば。
たぶん今日は、先月買収した四国の土佐商事とのネットワーク統合がまだ完了していない件で呼び出されたんだろう・・・。
先週、キミはネットワーク統合は難しいし時間もかかるとアレコレクドクド言っていたが、『SD-WAN』という技術があれば即座に解決できるらしいぞ。とりあえず明日、この展示会に行って情報収集だ!
驚いた。柴くん自身もなんとなく、海外展開もするような大企業向けのもの、というイメージしかない「SD-WAN」なんて言葉が社長の口から出るなんて!
しかし技術自体には興味があったので、素直に社長から招待券を受け取り、翌日会場前で待ち合わせることに。
そして翌朝の幕張。Interopは世界中で開催されているネットワークコンピューティングの展示会で、東京では1994年から開催されている。24回目を迎える今年は6月7日~9日の3日間、幕張メッセにて行われ、約14万人の来場を見込んでいるそうだ。
受付を終えて入場してみると、500社を超える企業が参加しているだけあって会場はかなりにぎわっていた。各ブース掲示物には、クラウドやセキュリティをはじめ、AI、IoT、ワークスタイル変革など、今注目のキーワードが並ぶ。
あらかじめ
SD-WAN関連のブースに印を付けたおいた地図を片手に(こういうところはマメなのだ)、会場を見て廻る。SD-WANが海外で流行っていることもあり、やはり海外企業が多い印象だ。
・・・ふと気がつくと社長がいない! 慌てて周囲を見渡すと、かなり先をスタスタと歩いている。どうやら目的地があるようだ。もしや社長もしっかり下調べを??
で、着いた先は
NTTPCコミュニケーションズのブース。
一瞬知り合いなのかと誤解したほど迷いなく、社長はブースの方に話しかけた。
そもそもSD-WANって何なんだね?
・・・あ、アカンタイプの客だ。聞かれた方(名札を拝見すると大野さんというらしい)もさぞかし困るだろうな、と思っていると、意外にもすぐに答えが返ってきた。
SD-WANは物理的なネットワークの上に、ソフトウェアで制御する仮想的なネットワークを構築する技術です。クラウドサービスのように物理的な工事をすることなく、コントロールパネルで、つぎはぎ状態になっているネットワークであっても、一元的に制御 / 設定を行うことが可能となります。
さすがプロ! 杞憂だったか。
それにしても、NTTグループ共同開発のSD-WANって、、、珍しいですね。
そうですね。国産ならぬ『NTT産』と言ってくださる方もいます。先行する米国などとは国内事情が異なるため、弊社は日本のIT事情に適したサービスを目指しました。
国内事情というと?
海外では品質の高い回線と、悪く言えば『安かろう、悪かろう』という回線が混在していて、SD-WANのメリットが活きやすい環境でした。一方、日本では既にエントリーVPNを採用している企業が多く、一般に回線の質も良いため、高機能で高価なSD-WANが普及するのは難しい状況でした。
それでこの値段か。ところで、どうしてこんなに安いんだ?
どうやら「初期費用0円、月額費1.7万円~」というポスターが社長の目を引いたようだ。 ※
この『Master'sONE CloudWAN』は、主に国内の中小企業様を対象として思い切って機能を絞り込み、低価格を実現した商品だからです。
日本におけるIT課題を把握したうえで、先回りして我々に必要な機能のみを厳選してくれたわけか。それは頼もしい。
それでもセンター拠点側の負荷を軽減するインターネットブレイクアウト、トラフィックを制御するためのアプリケーション可視化、回線を冗長化しつつ可用性を向上するハイブリッドWANなど、多彩な機能があるようだ。これなら四国本社とのネットワーク統合もうまくいきそうだぞ、という手ごたえを得て、少し突っ込んだ自社の状況を説明しようとした矢先・・・
さて柴くん、そろそろ会社に戻るぞ!
えっ、まだ入場して30分ほどですよ。それにこの後、NTTPCコミュニケーションズの方がSD-WANに関するセミナーを開くみたいですが。。。
今日のところはこんなもんだろう。さっさと帰らんと、仕事は待ってくれないぞ!
やれやれ。もう少し大野さんの話を聞きたかったが。まぁ概要は掴めたので、帰社して少し自分でも調べてみよう。
そして帰り道。柴くんはふと思いついた疑問を社長にぶつけてみた。
ところで、どうして一直線にNTTPCコミュニケーションズのブースに向かったんですか?
決まっとるだろ。
『ますたーずワンくらうどワン』という商品名、とてもいい響きだと思わないかね?
・・・ナルホド、そこでしたか。
Interop Tokyo 24thの会場では、NTTPCコミュニケーションズ サービスクリエーション本部 第二サービスクリエーション部 担当部長 三澤響氏による「ユースケースから見る、日本国内市場におけるSD-WANの必要性」と題したセミナーが実施されました。国内市場においても「即時性」「柔軟性」「拡張性」に優れたSD-WANサービスへの切り替え時期が近々に到来するであること、SD-WANが働き方改革にとっても有用であることなどが紹介され、最後に本稿でも触れた「Master'sONE CloudWAN」のプレゼンも行われました。
セミナーは立ち見が多数出るほどの盛況で、ネットワーク関係者のSD-WANへの関心の高さが伺えました。
※初期設定は、NTTPCより送付されるエッジ装置をお客さまにて接続のDIY工事となります。また月額費には、エッジ装置のレンタル料金、センドバック保守料金、SD-WAN機能利用料金が含まれております。その他、今後追加する提供機能は追加料金が発生することがあります。